子ども一人一人が自ら育っていくために                                        浅田裕子


思い切り遊ぶ
一日一日が成長の途中にいる子ども達。
自分のやりたいことを見つけ、気のすむまで(満足するまで)遊ぶことの中には、幼児期の発達に必要な栄養分がたっぷり含まれています。しかし、今の子ども達の生活環境では、子どもが本来の子どもらしく遊ぶことが難しくなっています。どこで遊んでもいい、誰と遊んでもいい、何をして遊んでもいい、時間を気にせず遊んでいい…。そんな昔の路地裏遊びのような子ども社会の中で、思う存分遊べる自由な時空間を大事にしています。

人間の中で人として育つ
周囲の人へ憧れや愛着を感じたり、一緒に遊ぶ人がいて楽しかったり、誰かと対立や競い合いも出来たりする、多様で豊かな人間関係が生まれる環境をつくっています。子どもは人と関わる中で色々な感情が引き出され、自分の心に向き合う経験もしていきます。保育者は指導者としてではなく仲間として一緒に遊びながら理解者になり共感者になって、子どもの歩みを見守り支えていきます。

トラブルや困難が成長のチャンス
たくさんの子ども達が一緒に生活する幼稚園です。自分の気持ちや自分の力を発揮しようとすると、衝突や混乱も起こります。そんな時、子ども達のゴチャゴチャした世界を保育者が整理し、自己主張の衝突や争いをうまく裁いて解決してしまうと、せっかく子どもたちが自分なりに何とかしようとするチャンスを奪ってしまいます。自分で感じ取り、自分で考え、試行錯誤しながら進んでいくプロセス自体の中で社会力や自立力が育っていくと考え、保育者は子どもの気持ちを感じながら共にその時間を過ごしたいと思います。

子どもの生活の拠点は、ファミリーという異年齢グループです
3歳児・4歳児・5歳児の子ども達と担任保育者のグループをファミリーとよんでいます。入園するまでは家庭という小さなファミリーで過ごしてきた子ども達が、幼稚園では大きなファミリーに所属して園生活の土台を作れるようにしています。年上の子どもが年下の子どもを手伝ったり、年下の子どもが年上の子どもを真似たりする、大家族のような暮らしの中で、生活する力を身に付けていきます。また、遊び疲れて戻ってきてホッとできる場所になり、甘えたり頼ったりわがままを出したりできる、子ども達のホームとして、保育者は家族のような気持ちで子ども達を支えます。

バッチの色で同学年の仲間意識がうまれます。子ども同士の育ちあいも
・3歳児はオレンジ色のバッチなので 「オレンジさん」です。 
 園内に好きなことを見つけ、保育者を安心の拠り所として、思いのままに遊んでいます。
・4歳児は黄色のバッチなので 「キイロさん」です。 
 自分の遊びが広がっていき、もっと力を発揮したくなります。色々な葛藤も経験しています。
・5歳児は黄緑色のバッチなので 「キミドリさん」です。 
 友達との遊びの中に自分をいかす手ごたえを経験し、自分の為だけではなく、他者の為にも力を使う喜びを感じるようになります。
 相手との違いを理解しようとし、目的のために折り合いをつけたり、交渉したりすることができるようになっていきます。