まんとみだより vol.30
イメージを形にしていく 〜ちゃぼの部屋での子どもたち
まんとみには「ちゃぼ」というアトリエのような場所があります。ここは、子どもたちが「何か作りたい」「描いてみたい」「手を動かしたい」と思ったときに、いつでも自由に遊び込める場所です。今、ちゃぼの部屋では男の子たちの間で「武器づくり」が大人気です。材料は、空き箱や牛乳パック、プラスチックのケースなど、家庭から持ち寄って下さる廃材、園で用意したセロファンや画用紙、テープ、ハサミなどを使っています。
まずは年長のキミドリさんがかっこいい武器を作り始め、それを見た年中のキイロさんが「ぼくも作りたい!」と加わり、さらに年少のオレンジさんたちも興味を持って参加していきます。大きさにこだわる子、色にこだわる子、飾りつけを工夫する子など、一人ひとりが自分の「かっこいい」を追い求めて、思い思いの作品をつくっていきます。そして完成したときの、あの誇らしげな表情とポーズは、見ているこちらまで嬉しくなるような瞬間です。
一見するとただの遊びのように見えるかもしれませんが、実はこの活動の中には、たくさんの学びが詰まっています。子どもたちは、自分の頭の中で思い描いたイメージを、目の前にある限られた材料を使ってどう形にするかを一生懸命考えています。「こんなふうにしたいけど、材料が足りない」「思った形にならない」そんな葛藤を乗り越えながら、自分なりの工夫で完成に近づけていく姿があります。
また、お兄さん・お姉さんたちの作品を見て、「どうやったらあんなふうにできるんだろう?」と考えながら真似してみる――そんな姿もよく見られます。誰かのやり方を見て、自分でもやってみるという「まねる」ことが、実は「学ぶ」ことのはじまり。子どもたちは、日々のあそびの中で自然とそうした経験を重ねていっているのです。
ちゃぼの部屋での活動は、子どもたちが自分の思いを形にしていくとても大切な時間です。創造する力、考える力、挑戦する力、そして誰かから学ぼうとする姿勢・・・そうしたたくさんの「育ち」が、ここには詰まっています。


