まんとみだより vol.35
生活の中で学び、育つ -自然の恵みから広がる物語-
まんとみの子どもたちは、日々の園生活の中で、さまざまなことを“実体験”を通して学んでいます。今回は、キミドリさん(年長児)が東浪見や園の自然に触れながら育っていく姿をご紹介します。

10月末、キミドリさんとキイロさんは、千葉県外房・東浪見の畠へお芋掘りに出かけました。子どもたちは自分の手で掘り出したお芋を大切に幼稚園へ持ち帰り、家に持ち帰る分と、幼稚園でみんなと食べる分に分けます。
翌日には園庭にかまどを出して、毎日のようにお芋を蒸す光景が見られるようになりました。「お芋を蒸したい!」という子どもたちが集まると、かまどに羽釜をのせて、お芋を入れて火をおこします。大人と一緒に火の扱いに気をつけながら、煙が目にしみる経験もしつつ、じっくり1時間ほど蒸していきます。良い匂いが漂ってくると、菜箸をさして柔らかさを確かめ、「もういいんじゃない?」と声が上がれば、みんなで味見をして蒸し具合を調整します。蒸し上がると、次はお芋屋さんの開店準備です。


蒸したお芋はバットにきれいに並べられ、「お芋やさん開店でーす!」の元気な声が園庭に響きます。遊んでいた子どもたちは石鹸で手を洗い、列に並びます。「手を洗いましたか?」という店員さんの問いかけに、「はい!洗いました!」と答えて、お芋を受け取ります。


閉店後は、店員さんたちが冷めた羽釜を地面にふせて、底についた煤を金タワシでこすり落とし、バットを洗い、テーブルを片付け、全部の後始末をします。これでようやく、今日のお芋屋さんはおしまいです。

こうした活動は、単に「お芋を掘って終わり」ではありません。掘るところから、分け合い、味わい、片付けるところまで──ひとつの出来事が次々と新しい物語へと広がっていく。それが、まんとみ流の学びの姿です。
子どもたちは、日々の生活の中で驚くほど多くのことを自ら学び取り、育っていくのです。
これこそ、まさにスイスの教育学者であり実践者であったペスタロッチが述べた「生活が陶冶する」(ふだんの生活そのものが、子どもを形づくり、育ててくれる)姿そのものと言えるでしょう。
