まんとみだより vol.37
時を忘れた子どもたち ー「永遠のいま」を生きる姿ー
まんとみの園庭にはいま、5歳児が東浪見(とらみ)の畑から届けてくれた日本水仙が、芳しい香りを漂わせ、子どもたちの日常にそっと寄り添っています。その花たちは、子どもたちの遊びの世界へ誘われ、ケーキの飾りやお店の商品へと、命ある「遊び道具」に姿を変えていきます。
そんな中、一枚の写真が捉えたのは、オレンジさん(3歳児)が水仙と出会った瞬間です。その子は、ただそこに在る水仙の美しい佇まいに心を預け、吸い込まれるように見つめていました。優しく、そっと包み込むような指先。それは、対象を分析する「我とそれ」の視線ではなく、水仙そのものを全霊で受け入れる、時間を超越した対話の姿でした。

また、もう一枚の写真にも、冬の陽光を背に受けたオレンジさんが写っています。ビルの隙間から園庭に差し込む陽の光が、地面に影を落としたその刹那。オレンジさんは「はっ!」と息を呑み、立ち尽くしました。初めて自分の影と出会い、世界が新しく立ち上がった瞬間です。そこには、過去も未来も消え去り、「これは何だろう!」という驚きに満ちた「いま」だけが無限に広がっていました。

子どもたちが時折見せる、あの「時間が止まったような表情」。それは、大人が深い思索や修行の末にようやく辿り着く「祈り」の境地に、子どもたちが天性の感性で身を置いている証拠ではないでしょうか。
哲学者マルティン・ブーバーは、真の出会いにおいて「祈りは時間の中にない」と説きました。子どもたちが何かに深く見入る姿は、人間が世界と真に出会うための、最も純粋で神聖な行為そのものと言えるでしょう。
だからこそ、私たちは、子どもたちがこうした「超越的な瞬間」を心ゆくまで味わえるよう、ゆったりとした時間と環境を保障し続けたいと考えます。この静かな出会いの積み重ねこそが、人間の根っこを深く、逞しく育てていく大切な滋養となるのです。
