まんとみだより No.3

仲良しペア ~異年齢の関わりの中で育まれるもの

園生活に慣れてきた年少さんもお弁当を食べる生活になった。仲良しペアの年長さんが、お弁当の準備から食べ終わって片づけるまでを一緒に過ごしている。自分の年少時代を思い出しながら、言うことを聞いてくれない年少さんに、「でもさ、手を洗わないと食べられないんだよ~」「一緒に持ってあげるから行こうよ」等と、あの手この手で導いている。大人なら上手に、早く年少さんを促すことができるだろうが、年長さんが『年少さんにどうしたら伝わるかな』と考えながら、一生懸命に関わっている深い時間には、かなわない。かつて年長さんも、そうやってもらいながら、安心感や愛着や憧れを感じていたのだろう。年長さんの役割だからというより、自ら年少さんにやってあげたくなる気持ちが年長さんを動かしている。

 

早く食べ終わった年長さんが自分の片づけを済ませてしまい、「明日のお弁当は、パンだけにしてもらおうかな~」と言いながら、仲良しペアの年少さんの隣に笑顔で座っている。午後は年長リレーがあるので、「 Iちゃんが食べ終わるまで待ってくれてるの?先にリレーのハチマキ巻いて、戻ってきても大丈夫よ」と伝えたが、その場を動くことはなかった。せかすことなく、ただ隣にいてくれる姿から、Iちゃんを想う気持ちが伝わってきた。年長さんがお休みの時に、同じファミリー(異年齢グループ)の年中さんにお世話をお願いした。年中さんと一緒にお弁当を食べていた年少さんが、ブロッコリーを残したまま席を立ってしまった。大人が迎えにいって戻ると、年中さんが「Mちゃん、まだブロッコリー残ってるよ~」と、フォークで刺したブロッコリーを渡してくれた。日々、年長さんと年少さんの関わりを身近に見ながら、年中さんの中にも年少さんを可愛いと思う気持ちや役に立ちたい気持ちが芽生えているようだ。

 

勿論、微笑ましい光景ばかりではなく、年少さんが逃げ出したり、何もしなかったり、泣いていたり…そんな状況もたくさんあって、困り果てた年長さんが泣いてしまうこともある。でも、大丈夫。時間をかけて分かり合えるペアになっていくのだし、どうしたらいいか分からなかったり、上手くいかない経験もあって、人が人の中で育つ土台になる。相手が思っていることを想像したり、どうしたら解決できるか色々と試してみたり、そうこうしているうちに、『一方的なお世話』が、『解決に向かって一緒に力を合わせる相互的な関わり』へと変化していき、その共有感はお互いへの信頼になっていくのだと感じる。お弁当を嫌がってぐずる年少さんの顔をのぞきこみ、「だってママと食べたいよね…」と言って、傍らで待っていてくれる年長さん。2年前に自分だってそうだったから・・という本当の寄り添いから生まれてくる懐の深さだと、毎年思わされる。

2023年06月14日